「運転が好きだけど、それを仕事にできたら──」
そう思ったことはありませんか?
実は、長距離トラック運転手という仕事は、
「そんな趣味がそのまま収入になる」
働き方のひとつです
全国を巡ってドライブを楽しみながら、音楽やラジオを聞いて、自分のペースで働ける。しかも、人間関係のストレスが少なく、自由な時間も多い。
この記事では、現役の長距離ドライバーである筆者が、「運転好きな人に長距離トラック運転手をおすすめする理由」をリアルな経験をもとに解説していきます。
運転が好きな人は長距離トラック運転手がおすすめの理由

ドライバーという職業を選ぶ人の多くは、運転が好きな方だと思います。
ましてや長距離トラック運転手となると、運転時間はかなり長くなります。
冒頭でも触れましたが、
といった理由でドライバーを目指す人も多いかもしれません。
しかし、
運転があまり好きではない
むしろ苦手かもしれない
という人が、わざわざ“長距離”を選ぶことは、あまりありません。
だからこそ、現役の長距離ドライバーである私が、「運転好きな人には長距離トラック運転手がおすすめな理由」を解説します。
全国巡りでドライブが楽しめる

運転が好きな人にとって、長距離トラック運転手の魅力の一つが「全国を巡れること」です。
もちろんルートにもよりますが、地場配送に比べて、いろんな場所へ行ける機会が増えます。
私は愛知県に住んでいて、前職は関東フリー便で「愛知↔︎関東」エリアを主に運行しています。

関東がメインですが、繁忙期などのタイミングでは、関東を越えて東北方面に行くこともあります。
長距離運行の場合、基本的に日帰りではなく、1〜3泊程度の宿泊が伴います。

小規模な運送会社だと時間に余裕がない便に当たることもありますが、2024年問題により働き方改革が進み、大手運送会社であれば少し余裕のある運行も可能です。
たとえば「430(ヨンサンマル)」というルールでは、「4時間走行ごとに30分の休憩」が義務付けられています。

この休憩中に、SA(サービスエリア)や道の駅などで少し旅気分を味わうこともできます。


私自身、現役の長距離ドライバーとして、そう感じることがあります。
もちろん仕事なので、100%旅行気分にはなれませんが、工場勤務のように一日中建物の中にいる仕事よりは、そうした気分を味わえる機会があると思います。
SA(サービスエリア)や道の駅でご当地のグルメなど楽しめる

長距離になればなるほど、SA(サービスエリア)や道の駅、コンビニなどで休憩やトイレのために停車する機会が増えます。
また、日帰りではなく一泊することも多く、高速のSAや道の駅で仮眠をとることもあります。
私が推している長距離トラック運転手の働き方は、高速指定の定期便や路線便です。

基本的に昼間に仮眠をとり、昼間に集荷された荷物を夜に積み込んで走る、夜勤メインのスタイルになります。
運ぶ荷物が1社の定期便か、複数の顧客の荷物かは、便によって異なります。
- 一般的には、夕方から朝にかけての運行が多い
- 昼間にSAや道の駅で仮眠をとるスタイルが基本
- 昼間は営業中の店舗も多いため、ご当地グルメや名物を楽しめる
そのため、昼間は営業しているお店も多く、ご当地グルメや地域の名物を楽しめるのも魅力の一つです。
ただし、注意点が1つあります。
SAや道の駅の商品は基本的に値段が高め!
しかし、計画的に利用すれば問題はありません。
好きな音楽やラジオを聞いながら運転できる
長距離トラックの魅力のひとつが、「運転中は基本ひとりの時間」という点です。
そのため、自分の好きな音楽やラジオ、YouTubeの音声コンテンツなどを流しながら運転できます。
会社員のように周囲に気を遣う必要がなく、自分のペースで音を楽しめるのは、かなりのリラックスタイムになります。
特に夜間の運行などは、眠気対策としても音楽やラジオは役立ちますし、

という楽しみ方をしているドライバーも多いです。
音楽やラジオが好きな人には、長距離トラックの運転はまさに趣味と仕事の融合かもしれません。
人間関係のストレスが少ない
トラック運転手は、人間関係のストレスが少ない仕事として注目されています。
特に長距離トラック運転手は、1人の時間が圧倒的に長く、煩わしい人間関係に悩まされることがほとんどありません。
【長距離トラック運転手の特徴】
・誰かと関わる機会がそもそも少ない
・1人での運転がメイン
・荷積み・荷下ろしは1日数回程度

【現役ドライバーに聞いた「長距離トラックを選んだ理由ランキング」
これは筆者が実際に元請け運送会社で出会ったドライバーさんたちに聞いた独自のリアルなアンケート結果です。
- 人と関わるのが苦手
- 自分のペースで働きたい
そんな方にとって、長距離トラック運転手は“人と距離が取れる仕事”として、理想的な選択肢かもしれません。
👉 実際に、コミュ障だった筆者自身が長距離ドライバーで報われた体験談もあります。
コミュ障の私が長距離トラックの運転手で報われた話!現役ドライバーが理由を解説
長距離トラック運転手のメリット

長距離トラック運転手には、実際に働いてみて感じた“メリット”がいくつもあります。
現役ドライバーの私が実際に感じたメリットをリアルに紹介します。
乗用車より大型トラックの方が運転姿勢が楽

私もこれまで色んな車を運転しましたが、乗用車よりもトラックの方が運転が楽です。
その理由は、トラックの運転席の椅子がリクライニングになっていないからです。
簡単に言いますと、食卓の椅子に座っている感覚に近いです。
・トラックの運転席はリクライニングではなく、直角に近い姿勢になる
・感覚としては「食卓の椅子に座っている」ようなイメージ
・乗用車でも、ワンボックスカーやハイエースのような車種はトラック寄りの姿勢
対して一般的な乗用車はリクライニングになります。
過去に、私の父がぎっくり腰になったことがあり、私が病院へ連れて行きました。
治療中、医師から「車の運転は控えてください」と指導されました。
リクライニングは腰を悪化させる。
と言われた記憶があります。
✅ リクライニング姿勢が腰痛を悪化させる理由
- 腰が丸まる(骨盤が後傾)
- リクライニングを倒しすぎると、腰が「くの字」に曲がった状態になる
- → 腰椎(ようつい)に変な圧力がかかって椎間板ヘルニア気味の痛みが出やすい
当時の医師曰く、
・リクライニングが一番腰に負担がかかる
・座るなら椅子に浅く腰掛けなさい
とも言われました。
私は愛知県在住で、家族で乗用車に乗ってディズニーなどへ何回か行きましたが、やはり乗用車は疲れます。
一方、トラックは食卓の椅子に座っている感覚なので、負担も少なく楽に感じます。
また、トラックでも大型車などは座席の位置が高いため、見晴らしもよく、渋滞や進路変更などにも早く気付けるので、イライラも少なく精神的にも負担が少ないです。
- 椅子の感覚が食卓の椅子に近く、姿勢が安定しやすい
- 負担が少なく、長時間でも疲れにくい
- 大型トラックは座席位置が高く、視界が広くて運転しやすい
- 渋滞や進路変更にも早めに気付きやすく、精神的なストレスが少ない
- 結果として、イライラしにくく快適に運転できる
長距離|3日以上の運行は光熱費の節約になる

長距離トラック運転手は、基本的にトラックの運転席で仮眠します。
また、全国に営業所がある大手の運送会社では、各営業所に仮眠室・シャワー・洗濯機などが完備されており、自宅に帰らなくても生活が成り立つ環境が用意されています。
つまり、自宅にいる時間が少ないことで、
・エアコンや照明などの電気代がかからない
・お風呂やシャワーは営業所の設備を使える
といった形で、水道光熱費の大幅な節約につながるのです。
実際に、私が3〜4日運行を連続でこなしていた時期は、月の電気代やガス代が普段の半分以下になることもありました。
家庭持ちの方にとっても、在宅時間が減る=家庭の負担が減るというメリットもあるかもしれません。
ご当地の下見や情報が手に入る
長距離トラックの運転手は、当然ながら遠方まで運行する仕事です。
知らない土地に行くことも多く、毎回がちょっとした“下見”のような体験にもなります。
フリー便でも定期便でも、遠方に行くという点では変わりありません。
【フリー便】
毎回、積み下ろしの場所が変わります。
【定期便】
決まった場所で積み、決まった場所で下ろします。
運行先で荷下ろしや積み込みをしていると、荷主の担当者や、他の運送会社のドライバーさんと話す機会があります。

その中で意外と会話が弾み、地元のおすすめグルメや観光地、穴場のホテルなど“ご当地情報”を手に入れることができるんです。
私自身、愛知県在住で、よく関東や東北方面へ運行します。
あるとき家族とディズニー旅行の計画を立てていたところ、
関東のドライバーさんから「意外な楽しみ方」や「格安で便利なホテル」などの情報を教えてもらいました。
また、地元の人しか知らないようなグルメ情報もたくさんもらっています。
たとえば:
など、ドライバー同士だからこそ共有できる“生きた情報もあります。
運行が2日以上にわたる場合は、現地で一泊、場合によっては連泊することもあります。
便によっては運行先で時間に余裕があることもあり、空いた時間でご当地グルメを楽しんだり、気分転換することも可能です。
2日以上の運行は車中泊も楽しめる

長距離運行では、1日あたり片道400km以上を走行するのが基本です。
遠方への運行では、600〜800kmを走ることも珍しくありません。

そのため、車中泊がメインになるケースが多いです。
大手の運送会社では、営業所に仮眠室が設けられていることもあります。
しかし、東京・大阪・名古屋などの都市部では、トラックの台数が多いため、仮眠室が満室になることもあります。
また、荷下ろしを終えた場所から営業所まで距離がある場合もあります。
そのようなときは、高速道路のSA(サービスエリア)や道の駅、コンビニなどで仮眠をとることになります。

特にSAや道の駅での車中泊は、ちょっとした旅行気分も味わえるのが魅力です。
私はキャンプや軽キャンピングカーでの車中泊が好きなので、車で寝ること自体はまったく苦になりません。
むしろ、楽しく感じるくらいです。
外食を楽しむこともできますし、車内での自炊も可能です。

車中泊が好きな人にとっては、2日以上の長距離運行はむしろ“ご褒美”になるかもしれません。
家族に全国の珍しいお土産を買える

長距離トラック運転手は遠方へ行くことが多いため、SAや道の駅などに立ち寄る機会が自然と増えます。
私も愛知から関東〜東北方面まで走り、また愛知へ戻るという運行をしています(2〜3日の運行です)。
家を何日も空ける仕事なので、奥さんや子どもたちの不安もどうしても募ってしまいます。

そんなときに、たまにお土産を買って帰ると、やっぱり喜んでくれます。
ただし、お土産は基本的に高めなので、買いすぎには注意が必要です。
長距離トラック運転手のデメリット

長距離トラック運転手はメリットばかりではありません。
当然、デメリットもあります。
現役ドライバーの私が実際に感じたデメリットをリアルに紹介します。
時間が不規則になり生活リズムが崩れる
長距離トラックの運転手は、時間が不規則になる場合があります。
特にフリー便などは毎回積み込み場所が変わるため、出勤時間も変わってきます。
下の図は、大阪から出発し、東京で荷物を積み込んで帰る長距離トラックの運行イメージを表しています。

✏️「大阪〜東京」運行の基本的な流れ
私が推している長距離トラックは、全高速指定の雑貨路線や定期路線の運行です。
雑貨路線や定期路線は、昼間に睡眠をとり、昼間に2t車や4t車で集荷された荷物を夜に積み込んで全国へ発送します。

そのため、基本的に昼夜逆転の生活になり、生活リズムが崩れる可能性があります。
個人差はありますが、気にならないという方もいます。
特にリズムが狂いやすいのは、休み明けです。
1日しか休みがないと大変です。
【下の図は2日運行の例】

夜勤明けに寝て、起きたら夕方。
せっかくの休みも夜からやることがなく家でゴロゴロ、そして夜が明けて、休み明けの仕事のために仮眠。

「休んだ気がしない」というのが現実です。
そのため、有給を上手に取得して2日以上休める環境を作ることが大事です。
また、土日休みの便を選ぶなど、工夫することも可能です。
外食や風呂などで意外とお金がかかる

長距離トラック運転手は毎日家に帰れないので、出費がかさみます。
その中でも、一番お金がかかるのが食費!
当然、すべて外食になりますので、それなりに費用がかさみます。
例えば私が実際に行った運行を例にします。2日運行を24日稼働します。

私の場合は比較的体力を使わない積み込みや荷下ろしが多く、メインは運転になります。なので、正直あまりお腹が空きません。
私は1日2食で十分でした。
どれだけ安くしても1食500円。場合によっては1食1000円以上も珍しくありません。
平均700円としても、
結構な金額です。
しかも体力を使うバラ積み&バラ降ろしなどは体力を使いますので、1日3食を食べるとさらに高くつきます。
さらに、食費だけではありません。
2日運行なら風呂は我慢できますが、3日以上の運行ではシャワーや風呂に入らないと衛生上良くないです。

💡SAの風呂・シャワーも出費に入る
・風呂:700〜1000円
・シャワー:10分あたり300円
それだけではありません。水一杯飲むのもすべてお金がかかります。
そう思うと、意外と出費がかさみます。
しかし、出費を抑えることも可能ですので、この後の
「長距離トラック運転手のデメリットの改善方法」
で詳しく私の体験を交えてお伝えします。
エコノミー症候群になりやすい
長距離トラック運転手は長時間同じ体勢で運転するため、血行が悪くなりやすく、エコノミー症候群(静脈血栓塞栓症)になるリスクがあります。

また、遠方に運行した先では車中泊になるケースが多く、1日の大半を座って過ごすか、限られたスペースで横になるだけの生活になります。
・身体を動かさない時間が長くなる
・健康的な環境とは言えない
長距離トラックといえば大型車がメイン。駐車できる場所も限られますので、気軽に歩き回ったり、運動したりするのが難しいのが現実です。
結局のところ、やることも限られ、車内でゴロゴロ過ごすパターンが多くなります。
水分不足や疲労の蓄積もエコノミー症候群のリスクを高めるため、意識して水を飲む・合間にストレッチをするなど、小さな工夫が重要です。
長距離トラック運転手のデメリットの改善方法は?
現役の長距離トラック運転手が、実際に感じたデメリットと、その改善方法をお伝えします。
ここで紹介する改善策は、完璧に解決するものではありませんが、「少しでもマシにする」ための現実的な工夫です。
【時間が不規則になり生活リズムが崩れる】対策は
改善策:なるべく「定期便」の仕事を選ぶこと
小さい運送会社になればなるほど、さまざまな仕事をこなす必要が出てきます。
特にフリー便や臨時便は、積み地や降ろし先が毎回異なり、時間も不規則になりがちです。

一方、大手の運送会社は大企業と契約している場合が多く、運が良ければ定期便に入れてもらえる可能性があります。

定期便と有給休暇をうまく組み合わせれば、生活リズムの乱れをある程度防ぐこともできます。

上記のような便に入ることができれば、生活リズムが整うのはもちろん、収入面でも安定する可能性があります。
【外食や風呂などで意外とお金がかかる】対策は
改善策:食費と生活用品の工夫で節約する
外食を完全にやめるのは難しいですが、少し工夫すれば出費を減らすことは可能です。
たとえば、出発時にお弁当を持参したり、
ネットや業務スーパーで下記のような物をセール時にまとめ買いしておくと効果的です。
💡節約のために事前に準備しておきたい食料&生活用品
・ペットボトル飲料
・カップ麺
・缶詰類
・ごはんパック
・お茶漬けの素
・紙皿・紙コップ
全てをSAやコンビニで買うと割高になるので、あらかじめ安く用意しておくのがポイントです。
また、コンビニで売られているカット野菜の袋(100円前後)なども活用すると、野菜不足の解消にもなります。

紙皿に盛って食べれば、手間もかからず節約にもなります。
さらに、シガーソケット対応の車載用ポットを使えば、
- お茶漬け
- カップ麺
- スープ類
- インスタント味噌汁
なども手軽に作れます。
※お風呂だけは節約が難しいため、浮いた食費を回して3日以上の運行時はしっかり入浴すると、疲れが取れて快適になります。
【エコノミー症候群になりやすい】対策は
改善策:430ルールをうまく使い、体を動かすこと
長距離トラックには「430(ヨンサンマル)」というルールがあります。
これは「連続4時間以上の運転をしたら、30分以上の休憩を取らなければならない」というもの。

2日以上の運行では、ほとんど必ずこのルールに引っかかるので、
どうせ休憩するなら、意識的にストレッチや軽い運動を取り入れるのがおすすめです。
私の場合は、SAの端にトラックを停め、トイレまで歩く距離を確保しています。

SAは広いので、あえて遠くに止めることでウォーキング代わりにもなります。
また、全国に営業所がある大手運送会社では、運行先に仮眠所が用意されていることも多いです。
空きがあれば利用でき、ベッドでしっかり仮眠をとることで疲労回復にもつながります。
✅ まとめると
上記のように、デメリットは完全にゼロにはできませんが、
現場でできる「ちょっとした工夫」や「会社選び」次第で、かなり軽減することが可能です。
長距離トラック運転手で趣味がお金になる|まとめ

運転が好きな人にとって、長距離トラック運転手はまさに「趣味がお金になる」仕事です。
全国を巡りながらドライブや音楽を楽しめて、人間関係のストレスも少なめ。
さらに、長距離運行ならではのご当地グルメや車中泊も楽しめます。
もちろん、生活リズムの乱れや出費、健康リスクなどのデメリットもありますが、工夫次第で改善も可能です。
運転が好きで一人の時間が苦にならない人には、長距離トラック運転手は理想的な働き方のひとつです。