長距離トラック運転手がウィング車や箱車を選ぶ3つの理由!平ボディ時代との比較も

長距離トラック運転手がウィング車を選ぶ理由を平ボディ経験者が解説するアイキャッチ画像

長距離トラックに転職しようと考えている方が、どんなトラックに乗るかは悩みどころです。

ひとことで長距離トラックといっても、運ぶ荷物によってトラックの種類は変わります。

大きく分けると、

  • 箱車
  • 平ボディ

になります。

結論から言うと、ウィング車や箱車は需要が高く、仕事的にも安定しています。

現役長距離トラック運転手である私が、ウィング車や箱車を選ぶ理由を体験談を交えながら解説します。

長距離トラックに転職を考えているあなたにとって、きっと参考になるはずです。

目次

長距離トラック運転手がウィング車や箱車を選ぶ3つの理由!

なぜ長距離トラック運転手がウィング車や箱車を選ぶのか悩む運転手と荷台を開いたトラックのイラスト

私も現役の長距離トラック運転手ですが、箱車を選ぶ主な理由は次のとおりです。

  • 箱車は仕事が安定しやすい
  • 荷物が濡れず、はみ出さない

この2点が大きなポイントです。

実際に私も平ボディを経験しているので、その違いがよくわかります。

ウィング車や箱車は仕事が多い

ウィング車にフォークリフトで荷物を積み込む様子と笑顔のトラック運転手のイラスト

長距離トラック運転手がウィング車や箱車を選ぶ理由の一つは、

食品
・宅配
・医療
・生活雑貨

など、生活に必要なものを運ぶため需要が多いという点です。

需要が多いということは、仕事が多く、安定しているということでもあります。

ウィング車とは

荷台の側面が上方に跳ね上がる開閉式パネル(ウィング)を備えたトラックです。

翼を広げたように側面と屋根が開くウィング車の構造図

鳥が翼を広げたように見えることから、「ウィング車」と呼ばれます。

開放すれば荷室が横から全部見える状態になり、フォークリフトでパレット積載作業がとても楽になる設計です!

ウィング車にフォークリフトでパレットを積み込む作業の様子

ウィング車はパレット積みができるため、幅広い荷物に対応できる点も魅力であり、仕事が安定しやすいのです。 

また、箱車は悪天候でも荷物が濡れないというメリットがあります。

雨の中でも荷物を濡らさず走行するウィング型トラックのイラスト

さらに、箱車には空調・冷蔵・冷凍機能があるタイプもあり、食品などにも対応できます。

シートをかける手間が省ける

荷物を守るためにシートをかけた平ボディートラックの後方画像

ウィング車や箱車は、平ボディ車と違ってシートをかける手間がないため、その分ストレスがかかりません。

平ボディとは?


「荷台に屋根や壁がない、フラットな形状のトラック」 のこと
・荷台は平らで、側面と後方に「アオリ」と呼ばれる可動板が設置されている

クレーンで鉄骨を積み込む大型平ボディトラックのイラスト|建設資材の積み下ろし作業を表現

荷台が屋根・壁なしでオープンになっているため、
フォークリフトやクレーンで積み下ろしがしやすい構造!

反対に、平ボディ車で濡らしてはいけない荷物を運ぶ場合は、シートをかける手間が発生します。

シートをかける作業で汗をかきながら苦労するトラック運転手のイラスト

また、大型のシートは大きくて重く、3.8mまで荷物を載せてすっぽりかぶせられるシートは、一人では持ち上げられないほどの重さです。

私も平ボディ時代に食材の原料や鋼材などを運びました。

平ボディートラックでフレコンバッグにシートをかける作業員のイラスト。

特に食材の原料などは絶対に濡らしてはいけないため、晴れていてもシートを二重にしていました。

なぜなら、走行中に急な天候の変化で雨が降ってきても、対応ができないからです。

これが地味に体力や精神的なストレスにつながります。

その点、ウィング車や箱車は天候を気にせず運行できるため、これが大きなメリットになります。

荷物が荷台に必ず収まる

荷台から荷物がはみ出さない箱型トラックのイラスト

当たり前の話ですが、ウィング車や箱車なら、荷物がはみ出す心配はありません

しっかりと囲まれた荷台構造のおかげで、どんな天候でも荷物を安全に運べる上、運送中の落下や破損リスクも軽減できます。

反対に平ボディ車は、箱車やウィング車では積めない特殊な荷物を扱うケースが多く、サイズによっては荷台からはみ出すこともあります。

大型の鉄材を積載し荷台からはみ出している平ボディトラックのイラスト

特に鋼材や長尺物などを積む現場では、荷台からのはみ出しに注意が必要で、シート掛けや固縛作業の手間も増えがちです。

その点、荷物が完全に収まるウィング車や箱車は、作業効率が高く安全性も高いため、長距離ドライバーから選ばれやすい理由の一つです。

現役運転手が語る!平ボディ時代との比較も

現役運転手が平ボディトラック時代を振り返るイメージイラスト

私はウィング車と平ボディの両方を経験しています。

現在はウィング車や箱車を推奨しています。

ウィング車・箱車と平ボディの違いやメリットを、現役トラックドライバーの視点で解説します。

積み込みに時間がかかる場合が多い

金属コイルを積んだ平ボディトラックと積み込み時間がかかる場面のイメージ

私は平ボディ(平車)の経験が10年ほどあります。

運んでいた荷物は、

  • 鉄骨・鉄筋(主に建設現場向け)
  • 鋼材(H形鋼・C形鋼など)

が中心でした。

鉄骨や鉄筋、鋼材の仕事がないときは、大手運送会社から仕事をもらい、食品の原料・建築資材・雑貨など幅広く運んでいました。

私が経験した中で、積み込みに最も時間がかかったのは鉄骨の仕事です。

当時の積み込みは、土曜日に積み置きして月曜日の朝に荷下ろしという流れでした。

平ボディトラックが土曜日にクレーンで積み込み、月曜日にクレーンで荷降ろしする作業のイメージ

結論から言うと、積み込みに半日(6時間以上)かかりました。

その理由は以下の通りです。

・天井クレーンを使って自分で積み込む必要があった
・H鋼のような鉄骨の梁が大量にあり、荷台への昇り降りを何度も繰り返した
・体力の消耗が激しかった

平ボディトラックに作業員がひとりでクレーンを使い、荷台に登ったり降りたりしながら鉄骨を積み込む様子

また、鋼材関係の積み込みも時間がかかるうえに、濡れて錆びるとNGになるため、シート掛けもかなり大変でした。

平ボディトラックの荷台に黒いシートを掛けて固定するドライバーの後ろ姿

一方で、1本10tの柱を1本だけ運ぶ仕事もありました。

平ボディトラックに8トンの鉄骨1本を積み込み、作業時間は15分

このような運搬は「もらい仕事」で、積み込みは15分程度で終了することもあります。

とくにフリーの平ボディ(平車)は、何を積むか分からないため、ハマるときは本当にハマります。

荷下ろしも半日以上かかる場合もある

平ボディトラックから鉄骨を荷下ろししている様子。作業は半日以上かかる場合もある

私の経験で、平ボディ(平車)で荷下ろしに最も時間がかかったのは、6時間以上でした。

その時は、大型施設の建設現場での鉄骨の荷下ろしです。

鉄骨は

などは比較的早く降ろしてもらえます。

当時の建築現場は愛知県のとあるイオンの現場で、現場自体は広いのですが、建物が建つ場所は狭かったです。

そのため、柱を立てて梁を付けてからでないとスペースが空かないとの理由で、私が積んでいた階段や胴縁などは最後に取り付けることになり、一番最後の荷下ろし順番になりました。

市街地を鉄骨を積載した平ボディトラックが走行している様子

結局、8時に現場に到着して、荷下ろしが終わったのは14時を過ぎていました。

他にも現場仕事で長時間待たされた経験は数多くあります。

現在はウィング車でフリー便をやっていますが、ウィング車も待たされることはあるものの、
私の経験では平ボディの方が荷下ろしに時間がかかる傾向があると感じます。

荷下ろし先を下調べする必要がある場合が多い

平ボディトラックの運転手が地図を見ながら荷下ろし先を下調べしている様子

ウィング車も初めて行く場合は下調べが必要なことがありますが、平ボディも意外と下調べが必要なケースがあります。

鋼材関係で、大型倉庫から街の鋼材屋さんへ運搬する場合は、一度覚えてしまえば次からは安心ですが、現場への運搬や納品などは毎回下調べが必要です。

大型倉庫から街の鋼材屋へ鋼材を運搬するトラックのイラスト

また、建設現場や建築現場などは、まだ地図に載っていない場所もあります。

積み込み地で地図をもらえますが、手書きのものが多く、中には雑な地図もありました。

建設現場への道順を示す手書き地図のイラスト

私も平ボディで現場行きの運搬をしていましたが、雑な地図が多かったように感じます。

同じ平ボディでも、運ぶ荷物によっては下調べが必要なケースが多くなります。

ウィング車や箱車の方が需要が多い為に選ばれる|まとめ

ウィング車や箱車が需要の多さから選ばれる理由を説明するイラスト

ウィング車や箱車の方が需要が多い為に選ばれる理由は以下です。

  • 仕事の安定性が高い
    食品・宅配・医療・雑貨など生活必需品の運搬が多く、需要が途切れにくい。
  • 天候の影響を受けにくい
    荷物が濡れず、はみ出しもないため安全性が高い。
  • 作業効率が良い
    シート掛けや固縛の手間が少なく、積み下ろしがスムーズ。
  • 対応できる荷物の幅が広い
    パレット積みに対応し、冷蔵・冷凍機能付きの車両もある。

➡ 長距離運転手にとって、安定・効率・安全の3拍子がそろうため、ウィング車や箱車が選ばれやすい。

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